銃の問題

2015年4月より書いてきた当ブログですが、2021年が終わるのを機に日々起こる出来事に対する私の考えを書く「エッセイ」セクションを追加することにしました。「このブログについて」も更新しました。

今回はその第一回目。銃の問題についてです。

先月末、ミシガンの高校で生徒が学校で銃を乱射し4人の生徒が犠牲になる事件が発生した。

息子のサッカーの試合で10月にミシガンに行った折に試合を行った高校からさほど離れていない町での学校で起こった事件に背筋が凍る思いがした。銃乱射と聞くと治安が悪い場所での出来事かと思いがちだが、今回の学校はデトロイト郊外の北の方で特に治安が悪い地域でもない。二人の娘が高校に通う私としても他人事ではない。もし娘たちが学校で誰かが持ち込んだ銃に撃たれて死んでしまったらどうするだろうか。

これまでもアメリカでは高校で銃を乱射する事件が何度も発生している。

こういうことが起こる度になぜ防げなかったのだろうかと考えてしまう。

銃を規制 (gun control) しようということは長年言われているが、アメリカにはNRA (National Rifle Association―全米ライフル協会) という強い団体があり、銃の所持は個人の自由だということで一向に進まない。銃が悪いのではなく銃を使う人間が問題だというのだが、その人間がきちんと銃を意図する用途に使えないのであれば規制するしかないのではないか。

簡単に銃を買えてしまう現実は異常としか思えない。

実際に買おうとしたことがないのでどれだけ容易に買えるのかわからないが例えば近所にあるWalmartに買い物に行くとスポーツ用品のセクションのあたりに銃セクションがある。

郵便箱に入ってくるチラシにも普通に銃の宣伝がある。この間入っていた広告で一番安いものは120ドル弱だったと思う。

そんなに安い価格で人命を簡単に奪える物を販売していいのだろうか。私には全く理解できない。

狩猟に使うというのはよく理解できることであるし、自己防衛というのも場所によってはあり得るかなという気もする。

アメリカの田舎はとてつもなく田舎で見渡す限り何もない。そんなところに住む人にとって野生の動物から身を守るために銃が必要だ、という意見はわからなくもないが、実際にそういう場面がどれくらいあるのだろうか。

それに、昔、どこからか人が現れて突然町を襲撃する、とかいうことがあったのかどうかわからないが、21世紀の現在、そんなことがあるとは思えない。特に人口が多い大都市で皆がコミュニティを作って生活しているところに昔の部族同士の争いように突然の奇襲をしかけてくる人がいるだろうか。むしろ銃があり、それを使う人がいるからそういう人から守るために銃が必要なのではないか。

今回の事件で驚くのは親が15歳の息子に早めのクリスマスプレゼントとして銃を買い与えていたことである。それが感謝祭の翌日の金曜日のことである。

この少年はインスタグラムにその銃をハートの絵文字つきで投稿、母親も息子へのクリスマスプレゼント、とソーシャルメディアに投稿していたとの報道がCNNであった。さらにその週末に息子を射撃場へ連れて行っている。

一体どういう目的で15歳の子供に銃を買い与えそれを誇らしげに見せるのだろうか。

その投稿を見た人たちは何も言わなかったのか、というのも不思議である。

他にも問題はある。感謝祭開けの月曜日、学校でその少年が携帯で銃弾を見ていたので学校側が親に連絡をしたが親から返事はなかった。

事件当日もその少年が銃撃をする絵を描き、「血が散乱し」(blood everywhere)「世界は死んだ」(the world is dead)「俺の人生は無意味だ」(my life is useless) などの書き込みがあったため先生は写真を撮り2日以内にカウンセリングを受けるように親に連絡をしたが親は拒否し、その後教室に戻ることを許可された少年が犯行に及んだ、との記述がCNNにあった。(https://www.cnn.com/2021/12/14/us/michigan-school-shooting-crumbley-parents-probable-cause-hearing/index.html

今も取り調べが行われているのでもっと詳細がわかってくるのだろうが、明らかにその少年は心が病んでいたのだと思われる。そして親も同様におかしいとしか思えない。

しかしこの事件の場合、親が特に精神的に問題があったり前科があるわけでなければ銃を販売する際に問題視されない可能性が高い。だとするとどのようにして販売できないようにするのか、というのが難しいところだ。

議会で具体的にどういう法案が審議されているのか全く無知な私は素人の考えしかできないが、先の狩猟用に使うのであれば狩猟が許可される期間に限り(州によってこの時期は鹿狩り、この時期は熊狩り、など決められている)どこかに保管管理されている銃やライフルを取りに行くとか、一定以上の人口の都市は何らかの規制をする、とかそういうことはできないのだろうか。販売後、猶予期間を設けて購入者へ講習をする、観察する、なども可能だろうか。

そもそも狩猟以外、何のために銃が必要か、ということが私には理解できない。

しかし親がこんな状態では本当にどうしていいのか途方にくれる。なぜ、子供が銃を手にすることができたのか。買い与えること自体がおかしいが百歩譲ってそれを許したとしてもきちんと管理する義務が親にあるはずだ。

少年は大人として裁かれるようであるが両親も同様に罪に問われるべきである。

銃がなければ4人の生徒たちは死なずに済んだ。

この少年は銃がなければナイフを使っただろうか。しかし今の時点でわかっている範囲では特に誰かに恨みがあったというわけではなく漠然とした銃乱射欲求だったようなのでもし銃がなければ数分のうちに4人の命を奪うことはできなかったはずだ。

仮に誰かが個人的に誰かに危害を加えたいと思って学校にナイフを持って行ったとしても実際に殺すことができるかどうか疑問であるし、短時間に複数の人を殺すことは容易でないことは明白だ。

私が住む町の隣町でも学校に銃を持ってきたとSNSに投稿した女の子が学校に取り締まりを受けたという話がその後すぐにあった。

コロンバス市のニュースが携帯に常時入ってくるが銃関連の事件がない日はほぼない。

学校に金属探知機を設置してほしいと言う長女。ここの学校では起こらないだろうと思うが本当にそうなんだろうか。銃規制ができないのであれば金属探知機で毎日学生を検査してから校内に入れることも必要なのかもしれない。安心して学校に行けるようになってほしいと願うばかりである。

Photo by steve woods on Unsplash

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