GMO-遺伝子組み換え作物

GMOは Genetically Modified Organisms の略で遺伝子を組み換えた生物のことを言います。

こういうマークがついている食品をたまに見かけることがあります。これは遺伝子組み換えのない食品流通体系を構築、消費者を教育し、遺伝子組み換えのない食品の選択肢を消費者に与えることを目的とした非営利団体が行っているプロジェクトで、そこの団体が検証して遺伝子組み換えのない食品であることを証明するものです。

http://www.nongmoproject.org/

この団体についての詳細は上記のリンクを見てください。

遺伝子組み換え作物については安全性が確立されていません。人間に与える長期的な影響についても不明な部分が多く、動物実験においては遺伝子組み換え作物が動物に異変をもたらすことを証明するデータも出ていますし、がんをはじめ数々の病気との関連性も指摘されています。

しかし、アメリカでは食品を買う場合に遺伝子組み換え作物を使用したものかどうかということがわかりません。欧州全体、日本、中国などを含め世界では64カ国、人口の40%以上が住む地域において遺伝子組み換え食品については表示をすることが義務付けられるか規制がされていますが、アメリカとカナダにおいてはその規制がまったくありません。

http://www.labelgmos.org/the_science_genetically_modified_foods_gmo

上記のサイトには地図がありますので世界での状況が確認できます。

そして実際どうなのかというと、上記のNon-GMO Projectによると、アメリカで売られている食品の8割には遺伝子組み換え作物が入っているのです。

遺伝子組み換え作物が多いのは大豆、綿、とうもろこし、菜種、さとうきび、ハワイアンパパイヤ、アルファルファ、ズッキーニや夏野菜の黄色のスクワッシュです。

中西部に住んでいると見渡す限り畑が広がっている光景は日常のものですが、そのほとんどが大豆ととうもろこし、それも遺伝子組み換え大豆、とうもろこしを栽培しているのです。

アメリカの消費者は圧倒的多数で遺伝子組み換えの表示をしてほしいと思っているのですが、それができずにいる背景には政府に大きな影響力を及ぼしているバイオテクノロジー企業があります。

遺伝子組み換えといえば必ず出てくるのがモンサントというアメリカの大手バイオ化学企業です。この会社は1970年にラウンドアップという除草剤を開発し、この除草剤に耐性のある遺伝子組み換えの種も開発し、それをセットで販売するという手法で巨額の利益を得ています。1996年に導入されたラウンドアップに耐性を持った遺伝子組み換え大豆の種、1998年に導入された遺伝子組み換えとうもろこしの種はラウンドアップと共に使えば除草もできて作物の収穫量が増えるだろうという予想の元に開発、販売されたと思うのですが、実際にはうまくはいっていません。

長年ラウンドアップの農薬を散布し続けた結果、ラウンドアップに耐性のある雑草が出てきています。そうなると更に強い農薬を散布しなくてはならないため、そのためのお金がかかる、ラウンドアップに耐性のある遺伝子組み換え作物(「ラウンドアップ・レディ」Roundup Readyといいます)の種は再生能力がないのでまた翌年も種を買わなくてはならない、ラウンドアップを散布された遺伝子組み換え作物は従来のものと違って土壌にある病原菌に対する耐性がなく、これまでになかった病気にかかってしまう、などと色々な問題が農家においても発生してきています。

一般消費者としてはきつい農薬がかかった上に安全性が確立されていない遺伝子組み換え食品を食べることになる、というのはいい話ではありません。

そういうことからアメリカでは今遺伝子組み換え食品に対する表示を義務付けようという運動があり、昨年、アメリカで初めてバーモント州で遺伝子組み換えの表示を義務付ける法律が確立され来年の夏から表示をしなければならないようになりました。しかし、今でもまだ食品業界はそれに反対しており裁判が行われています。オレゴン州でも同じ内容で投票がありましたが、少しの差で昨年はその法案が通りませんでした。

日本では大豆によく「遺伝子組み換えでない」という表示がありますね。それを私は面白いなーと思って昔は見ていましたが、よく考えるとアメリカではそのような表示を見ることはなく、ほとんどすべてが「遺伝子組み換えあり」のものを食べていたのです。

この大豆ですが、日本は大量大豆消費国です。それでは自給率はどれくらいかというと農林水産省のデータによると5%程に過ぎず、あとはすべて輸入に頼っています。輸入先としてはやはりアメリカが圧倒的に一位です。

アメリカでは先に書きましたように遺伝子組み換え大豆が主流(93%)なのですが、日本人は遺伝子組み換えを嫌がるので日本向けには遺伝子組み換えのない大豆を輸出しているようです。

このように遺伝子組み換え作物が主流で、しかもその表示がないアメリカでいかにして遺伝子組み換えのないものを食べるかというと、有機の食品を食べるしか今は方法がありません。

有機食品として認められるためには遺伝子組み換え作物を使用してはいけないことになっていますので、まずは有機のものを食べるところから始めるしかありません。

私はアメリカに来て最初の10年ほどは何も考えずにスーパーで手に入るものを何でも買っていました。それにもともと今のように有機食品、自然食品など売っていませんでしたし、今思えば当時はモンサントの種からできた作物も出回り始めたところだったので問題もわかっていなかったのです。ここ数年でもかなり有機野菜や果物、食品など増えてきたので、それだけ一般市民の意識が高まったということでしょう。

アメリカに住んで普通に生活をしていると外食や出来合いのものをすべて避ける、ということはなかなか難しいです。ですから嫌でも必ず遺伝子組み換え食品を口にしていることになります。

遺伝子組み換え作物が本当に体によくないのかどうか、というのはまだ議論がなされている最中ですが、よくないというデータがあることも事実です。動物によくないものが必ずしももっと複雑な生命体である人間にもよくないとは限りませんが、逆に動物によくないのだから人間にだっていいはずはないとも言えます。

食の問題は毎日のことですから、大事をとって、家で作る時くらいは安全なものを、と思うので私は有機のものを買っています。

以上、簡単ですがアメリカの遺伝子組み換え作物のお話でした。

上記以外にもGMOに関する情報源はたくさんありますが、あと二つ紹介しておきます。

http://www.non-gmoreport.com/index.php

http://www.centerforfoodsafety.org

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