アメリカの 健康保険

随分間があいてしまいましたが、前の続きで(といって1ヶ月くらい前になってしまうのかもしれませんが)アメリカの 健康保険 (Heath Insurance)の制度のお話です。

どうしてこの話題が出たか、前の話を知らない方はこちらをどうぞ。

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大したこともないのに救急病院へ行ってしまった失敗談からアメリカの医療費がどれほど高いか、ということを書きたいと思います。

といってもこれは私が経験に基づき言っているのですべてがこのような形になっているとは限りません。他にも色々な形態があると思うので、飽くまで私の例、ということで読んでくださいね。

アメリカに来てまずお医者さんに行く、ということ自体が大変なことの一つだと思います。特に言葉がわからない場合、不安も更に高まります。

アメリカでは英語に不自由する人には通訳をつけなくてはならない、という規則があるので、頼めばたいていの場合は手配してもらえると思うので、不安な方は是非言ってみてください。

病院、お医者さんに行くとまずは保険のカードを出してくださいと言われます。

それを出すと持っている保険により自己負担の金額が色々ありますので、それをまず払うように言われます。これは Co-pay (Copayment) と言われます。一般医師の場合は10ドル、専門医の場合は25ドル、などと決まっている場合もありますし、まったく自己負担金はなし、という保険もあります。

それで一応診察はしてもらえますが、そのあとに請求書が来ます。

これも請求であったり、保険でまかなえた場合はその明細書、という形のこともあります。最近ではオンラインで見ることができて、紙の明細は送られてこないことも多いかと思います。

それだけなら簡単なのですが、これが色々なところからくることがあり、え、まだあるわけ!?と思います。

というのは、例えば出産の場合ですと、普通の産科医師、麻酔医師、病院、検査をした技師、ラボ、などなどいくつもそれぞれから請求が来ます。

請求金額もとんでもなく高いことにまず驚きますが、更に複雑なのは保険会社が大手である場合、そこと提携している医師、病院であれば交渉された価格が決まっていて、この地域において、こういう類の治療、診察にはこれ以上は請求できない、という限度額が決まっています。そうするとその高い金額が急にがくっと下がることもあります。それくらいの額でできるのなら、なんで最初にそんな高い金額を請求するのかな?と私は疑問に思ってしまいます。

逆に自分の健康保険会社とは提携していないところへ行った場合はまったく割引がないので高くついてしまうので、その点も事前に確認しないといけないことの一つです。

それでは、先回の救急病院での治療費はいくらだったのでしょうか。昔、日本に帰国時に子供が怪我をして近所のお医者さんに行ったことがあるのですが、保険がなかったので1万円くらいしたという記憶があります。昔の1ドル100円で換算して100ドルくらいですね。

先日の救急病院へ行った時のことですが、

診察内容:

  • 看護婦さんによる身長、体重などの聞き取り、血圧の測定など。
  • 医師による触診、聞き取り
  • 胸部レントゲン
  • 市販の痛み止めの薬一粒とコップ一杯の水

以上です。これに2時間半かかりました。

請求額:

  • 病院から:$1,844.80(救急サービス、レントゲン、雑費)
  • 医師から:$45
  • オハイオ中部救急サービス株式会社より:$765

合計 $2,654.80 です。今の為替(1ドル113円)でいくと30万円です!!

信じられない額だと思いませんか。救急だから仕方ないかと思う部分も多少ありますが、ここまでかかる理由は一つもありません。

この「診察」に2時間半かかりましたが、その間、見た他の患者はほんの数人です。ホテルのようなきれいな待合室から豪華なテレビ付きの個室での診察、そして娘が寝ていたベッドは重病人がのるようなたくさん機能がついたもので、そのままベッドに乗せられたままレントゲンの部屋へ娘は連れていかれました。待っている間も何かあったらこのボタンを押したら看護婦がきますから、など、もう至れり尽くせりでしたが、そこまでする必要はまったくないですよね。

もっと簡素でいいから安く、早く、という選択ができてもいいような気がします。

そもそも首、肩が痛いと言ってるのになんで胸部レントゲン?と思いますよね。娘が息をすると痛いと言ったからなのですが、そこでそれはいらないと私が断るべきだったと今になって思います。

その日はほんとに閑散としていて皆暇にしていたので無理にやれることないかな、と考えたのかも、と推測してしまいます。

もちろん救急ですから本当の救急患者が来ることもあるわけで立派な施設は素晴らしいし、近くにこういう病院があるということは心強いのではありますが、状況、人に応じてランクダウンできるといいのになーと思います。

先ほど、保険会社と提携している医療機関や医師であれば交渉で額が決まっているといいましたが、うちが使っている保険だと先ほどの30万円ほどの金額が $1,459.67 (16万5千円)まで下がりました。

これは救急ですから普通より高いというのは事実ですが、普通の診察でもとても高いですよ。

去年末、娘がMRIをとりましたが、やはり20万円ほどしました。保険で1000ドルちょっとになりましたから、11~12万くらいでしょうか。

この額をすべて自己負担するのではなく、保険によってその払い方にも色々あります。500ドルまでは払ってあとは8割保険が払って残りは自己負担、などもありますし、それは本当に色々だと思います。

日本のように国民保険というものが存在しないので健康保険はアメリカでは大きな問題になっています。4年に一度の大統領選挙が今年ありますが、4年前の大統領選では健康保険改革は大きな問題になっていましたね。

私は昔からこの医療制度はおかしいと思っていましたが、なんでそもそもそんな額が請求できるのか不思議です。

アメリカでは医療はほとんどビジネスになっていますから、病院もお客さん(患者)獲得に努力をし、こんな最新の設備があります、こんな快適な病室がありますなど色々宣伝をします。

都市部には大きな病院がたくさん建っているのを目にすると思いますが、建築費、医療設備、病室にお金がかかっているんだと思います。

アメリカは医療技術も進んでいるのでそれは素晴らしいのですが、普通の診察でもここまでお金がかかるような状況は何とかしなくてはいけないのではないでしょうか。

健康保険を持たない人の率は近年下がってきているようですが、まだ保険のない人もいます。そんな人は病気になってもお医者さんに行けませんよね。

大抵の場合、企業勤めであれば雇用主から福利厚生として健康保険を支給されるので、夫婦共働きの場合はどちらか条件がいい方をとります。(自営業の場合は個人で健康保険に加入することができます。)

雇用主によって条件も随分違うと思うので、これも就職、転職の場合には大きな要因になると思います。

こんな大したことでなくてもここまでかかるのですから、大きな病気になった場合は一体どこまでかかるのだろうかと心配になります。

病気にならない、医者にかからない、というのが一番いいですから健康第一で過ごしたいと思います。

これからはちょっとしたことでは救急病院など行かない、と肝に命じた私です。

皆さんも救急病院はまず避けて、なるべく病気にならないようにしましょう。

 

 

 

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